経済が停滞し、借家人の所得が減少すれば、市場家賃は低下すると予測される。にもかかわらず、家賃水準は上昇した。そのおもな要因は、低家賃住宅のストックの減少である。家賃の動向を理解するには、借家の型構成の変化をみる必要がある。借家ストックには、低家賃の木造アパートから高級な賃貸マンションまで、多彩な型の住宅がある。経済停滞の実態からすれば、同一住宅の家賃が大きく上昇したとは想定できず、したがって、低家賃ストックの減少によって借家の型構成が高家賃側にシフトしたと考えられる。
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民営借家市場では、「アマチュア」的な零細家主が木造賃貸住宅を供給し、低質ではあっても、低家賃の住む場所を提供してきた。しかし、そのストックの多くは老朽し、取り壊される傾向にある。木造共同建ての民営借家は、一九八三年では三〇一万戸、全借家の二四%を占めていたのに比べ、二〇〇三年では二五一万戸、一五%に減少した。そして、住宅システムを市場化する政策は、民間賃貸セクターをより「プロフェッショナル」な投資の対象に転換する方向性をもつ。低家賃住宅の供給は、投資対象として成り立たず、いっそう減少せざるをえない。住宅困窮の総量は増大し、公営住宅の二〇〇五年度の応募倍率は、全国平均では約一〇倍、東京都では約三二倍に達した。