以前にも書いたように、YouTubeは、コンテンツ識別技術を導入すると明言しています。これを利用すれば、日本からの違法投稿をある程度の確率でフィルタリングすることも可能でしょう。ただし、そのためには、日本の権利者の協力が不可欠です。たとえば、日本のテレビ番組であることを識別できるような特有の映像(画面の端に映る放送局のロゴ、日本語テロップなど)に関する情報を提供するなど、YouTubeと協力体制をしく必要があります。そうなると、「提携」あるいは「コラボレーション」といった共同作業も視野に入れる必要があります。日本の権利者も、ただやみくもに「事前削除などYouTubeの正常化が先。提携などはその後」と原則論を振りかざすばかりでは、問題解決への糸口がなかなか見えてこないのは、これまでの経緯を見ても明らかです。ここは原則論を1度引っ込めて、歩み寄る方向性も考えるべきでしょう。そのような共同作業が無駄になるとは思えません。その先には、米国のコンテンツ権利者達がYouTubeと提携して行おうとしている、37ページ以降で紹介したような新しい形のコンテンツ収入への道が開けるかもしれません。日本のコンテンツ権利者としてみれば、オープンなインターネットとは別の部分での、放送コンテンツの利用(ここで触れるNGN上で提供される映像配信サービスなど)を推進しているため、YouTubeと手を組むことは、自分たちの思い描いていた未来を否定することになり、そう簡単ではないのかもしれません。しかし、YouTubeに代表されるオープンインターネット上のCGM型VODサービス勃興の流れを、今さら誰も止めることはできません。YouTubeはREVVER(ここ参照)が取り入れているような、一般ユーザーに対する広告収入分配システムを導入する予定です。このシステムが稼働しはじめれば、投稿に対する熱気はますますヒートアップするでしょう。それとも、コピーワンス問題に代表されるように、コンテンツ権利者側はこれからもただひたすら放送コンテンツのコピーガードを固め、利用者の利便性を奪う方向でネットに対抗していくのでしょうか。自分たちの権利を守りそれを主張することは、コンテンツ権利者として当然です。しかし、ネットを嫌悪してばかりでは何も始まりません。従来型メディアの権利者も、YouTubeのような新しいコンテンツ配信システムから利益が上げられるよう、考え方をシフトする時期に来ているのです。YouTubeの問題はその絶好のチャンスと言えるでしょう。
(参考情報)
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