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シャネルのパンプスが世界の逸品と言われる理由

それまでのコルセットでギュウギュウに締めつけられたスタイルのドレスから、女性の肉体を解放すると同時に、心まで解き放ったファッションの旗手がココ・シャネルだった。彼女自身の生き方もふくめて、まさに新しい時代の息吹をモードの世界にもたらした功績は大きい。シャネルスーツ、シャネルバッグなど、いまではスタンダードになったデザインの方向性を世に問うた彼女が、もうひとつ切り開いた世界が靴のデザインと機能である。コンビの靴といえば、色の組み合わせやデザインの妙味だけでとらえられがちだが、いまシャネルシューズという表現でくくられる、爪先に黒い革を使ったベージュのパンプスは、シャネルが世に贈った新しいファッションの指針ともいえるものではないだろうか。この靴をはくと、ベージュの部分は足とつながってそのまま肉体の一部に見え、靴という印象を与えるのは黒い部分だけになる。足を長く見せてくれるというファッション性の面からは文句なしだ。ただし、黒い別革の部分はそのためだけに組み合わされたものではない。歩いているときぶつがったり、つまずいたりして傷がつきやすいのが靴の先の部分。そこで、その部分を少しでも目立たないように濃い色にすればという発想から、黒い別革が生まれたのである。体を美しく見せることとラクに行動できること、ドレスにココが求めたイメージをそのままシューズにも具現化したのが、シャネルシューズの正体である。