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女の葛藤を描いた、興味つきない物語

有吉佐和子さんの『華岡青洲の妻』は、だれの目にも実の母と娘のようにむつみ合い、いたわり合っているようにしか見えなかった青洲の母と妻の間に、埋めることのできない溝があり、言葉にも動作にもあらわれないだけに、いよいよ研ぎすまされていく女の葛藤を描いた、興味つきない物語です。姑と嫁の業の深さは、身近にいて一人だけ真実を見ていた小姑の口から、こんなふうに語られています。「私は嫁にいかなかったが、そのことを悔むどころか何より幸福だったと思っている。私はお母さんと嫂さんのことをずっとみていて何と怖ろしい間柄だろうと思っていた。嫂さんだけではない、この間お母さんの法事で妹たちが集まったとき、話す話が姑の悪口ばかり。言えば気が晴れるかと言わせるだけ言わせておいた。女二人の争いはこの家だけではない、どこの家でもどろどろと巻き起り、巻き返している」。